太陽光発電は思いのほか影に弱く、たった1本のひょろっと伸びた雑草が、パネルに影を落としただけで、大きな影響を及ぼします。生い茂る雑草の影がパネルにかかれば、当然ながら、発電量は大幅に低下します。
また、雑草がパネルの裏側に向かって、ぶつかるように伸びてくるのも、懸念すべき点です。
パネルの裏面は、バックシートでカバーされてはいるものの、ほとんど強度がなく、硬い雑草がぶつかれば、パネル内のセルにダメージを与えかねません。セルは卵の殻よりも割れやすいのです。
パネル上部は、強化ガラスでカバーされており、多少の衝撃には耐えられますが、裏面は弱点といえます。
(余談ですが、上部の強化ガラス側であっても、人が乗ったりしてはいけません。施工中に誤って乗ってしまう場合がありますが、そのパネル内のセルは致命的なダメージを受けている可能性が高いです。)
さらに言えば、雑草を放置することで、
・雑草に虫が集まる ⇒ 虫目当てに小動物が集まる ⇒ 小動物が発電所に悪さをする
といった副次的なトラブルをも招きます。
このように、雑草は発電所に対して悪影響を与えるばかりなので、しっかりとした対策が必要となります。
雑草対策には、3つの考え方があります。
1.生やさない
「絶対に雑草を生やさない!」と、地面全体にコンクリートを打設する方法もありますが、初期コストが上がってしまうため、そこまでやっている発電所は稀です。また、コンクリートのせいで地面温度が上がり、パネルの発電効率を落とす、という説もあります。
防草シートや砂利を敷き詰めて、極力生やさないようにしてあれば、雑草は限定的になるので、比較的に対策しやすくなりますが、やはりこれも初期コストの関係から、主流にはなっていません。
2.生えたら刈る
最もシンプルで、最も多用されている雑草対策です。
とにかく生えたら刈る。エリアや生えている雑草にもよりますが、年に3回ほど刈り倒してしまえば、どうにかなります。
また、発電所の作りによっても、刈りやすいか、刈りにくいかが分かれます。例えば、配線を地中埋設しているか/地表に転がしているかの違いで刈りやすさが変わり、コストにも影響します。
小規模から中規模程度の発電所なら、この方法でも問題はないでしょう。
3.植生を除草剤でコントロールする
コストだけを考えれば、除草剤を上手に使うのが、最も安上がりな方法です。ただし、除草剤の使いこなしに習熟していることが大前提となります。
除草剤には、以下のように様々な種類があります。
・特定の雑草だけに効果があるもの
・既に成長している雑草を枯らすもの
・生え始めの頃に効果があるもの
・枯らさずに成長を抑制するもの
・生えにくい土壌にするもの
など。
「どのような土地なのか」「どのような草が生えているか」「20年間を見越してどうコントロールするか」を、きちんと考えた上で、適材適所で除草剤を選び、適切に散布する、というスキルがなければ、近隣に悪影響を及ぼしかねません。
メガソーラーなど大規模な発電所の場合、この方法が最も適しており、コストも大幅に削減できます。しかしながら、中途半端な業者に依頼すると失敗しますので、是非とも草対策のプロフェッショナルに相談されることをお勧めします。