本来は地盤を改良してから杭を打つべきですが、コストとの兼ね合いや「たぶん大丈夫」という根拠のない自信から、軟弱地盤にそのまま杭を打って発電所を作ってしまった、というところが少なくありません。
最初は大丈夫ですが、そのうち杭が沈みます。全部の杭が均等に沈んでくれれば良いのですが、当然、そんなわけもなく一部の杭のみ沈みます。
すると、杭の上に乗っている架台に歪みができます。
そして、架台の上に乗っているパネルが凸凹になります。
見た目は悪いけど、発電量自体はそれほど減少しません。
しばらくは…。
しばらく経つとどうなるか?、やはり発電量が下落する可能性が高くなります。
パネルにねじれなどの無理な力が掛かり、そのうち中のセルが破損します。
(セルとはパネルの内部にある、黒く四角いシリコンのこと)
セルはごく薄いシリコンでできていて、卵の殻よりも簡単に割れます。
強化ガラスで守られているので普通は壊れませんが、パネルがねじれたり、パネルの上に人が乗ったりすると、強化ガラスがたわみセルに力が加わり、マイクロクラックという微細なヒビが入ります。
マイクロクラックは、初めのうちは発電量を落とすことはありませんが、徐々に成長して何年か後に大幅に発電量を落とす可能性が高くなります。
軟弱地盤の問題は沈下だけではなく、引き抜き強度が出ない、場合もあります。強風を受けた太陽光パネルが杭ごと飛んでしまった、という事故も少なくありません。
ただし発電所を設置してしまった後に、軟弱地盤対策として地盤改良をするのは費用も大きく掛かりなかなか難しいのも事実です。
そんな問題が多発したからでしょう、良い対策商品があります。
ビル技研が発売している「浮沈防止ベース」です。
日本PVプランナー協会の全国会員大会での講演で、千葉エコ・エネルギー 馬上代表がソーラーシェアリングについて講演されましたが、その中で「水田でのソーラーシェアリング事例」がありました。
水田にスクリュー杭を打つ際に「浮沈防止ベース」を併用して十分な杭の強度が出ているとのこと。
水田の杭にも使えるぐらいですから、軟弱地盤対策として「浮沈防止ベース」が役に立ちそうです。
2017/11/19 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之