論点は、以下の3点です。
1.再生可能エネルギーは高い。家計の負担(賦課金)は年間8,232円で、今後も増える見込み
2.再生可能エネルギーは天候に左右され不安定
3.再生可能エネルギーで原発代替は極めて困難
これまで何度も言われてきたことです。
「日本と再生」というドキュメンタリー映画で丁寧に説明されていて、それらはもはや過去の議論とされています。
1.については、単に金額の多寡を言っても意味はありません。その金額を支払うことによって、どれだけのメリットがあるのか、という視点で考えるべきでしょう。
再生可能エネルギーは高い、それでも、多くのメリットがあるならば推進すべきです。
ところで、本当に再生可能エネルギーは高いのでしょうか?
原発の電源は安い、と言われてきましたが、福島原発事故に伴う廃炉および賠償、除染費用の合計は約22兆円と言われています。当初は11兆円と言われていたのが、いつの間にか2倍に膨らみました。今後、もっと膨らんでも、なんらおかしくありません。というか、間違いなく膨らむでしょう。
(除染で剥ぎ取った土は、現地のあちこちに野積みしてるだけ。これの最終処分も決まってませんし、「やってはみたけど効果は不明」な凍土壁などもあります。分からないながらも対処しなければならないことだらけですから、費用が膨らんで当然でしょう。)
この廃炉・賠償・除染費用は高くないですか?
(東京電力が負担するにしても電気代に跳ね返ることは間違いありません)
2.については、たしかに天候に左右され不安定ですが、それをカバーするための技術が開発されていて、諸外国ではクリアできる課題と認識されています。
3.については、「再エネの比率を高めていくことは重要だが、~原子力発電を100%代替することは、今の人類のテクノロジーではできない。~極めて大量の電気を貯めておける電池が開発されれば、原子力を代替することも可能かもしれないが、それにはまだ百年単位の時間がかかる」と書いてありますが本当でしょうか?
2.3.に対する回答として、
7月6日の東京新聞Webで、ドイツのヘンドリクス環境・建設・原子力安全相の寄稿文を読んでいただくのがよろしいかと思います。
以下に一文だけ抜粋します。
「福島第一で起きた原発事故は大惨事となり、~ドイツ政府は、~原発八基の運転を停止し、残り九基も段階的に稼働停止することを決めました。これにより遅くとも2022年末にはドイツの全ての原発が停止することになります」
2022年末までにドイツでできることが、「今の人類のテクノロジーではできない。~まだ百年単位の時間がかかる」とは、どういうことなんでしょうね?
2017/11/23 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之