自動車の点検の方がずっと馴染みがあるでしょうから、太陽光発電のO&Mを考える参考にしてみましょう。
車検制度の目的は、自動車が、
・安全に運行できる状態か?
・公害を発生させないか?
を検査するものです。
この二つの目的が達成できていれば、多少の不具合には目をつぶります。
ちょっとしたボディの凹みやバッテリーの多少のへたり、基準値内のタイヤのすり減りなどは直さなくても問題ありません。
つまり新車同様に直さなくても、必要最低限で「安全に運行でき」かつ「公害を発生させない」ことを達成できていれば良しとされます。
翻って太陽光発電のO&Mの目的は何でしょうか?
発電量の確保は誰でも思いつくでしょうが、それ以上に安全性の確保も重要です。
台風で太陽光パネルが飛散したり法面崩壊で土砂流出したり、という重大トラブルが多発していますが、一歩間違えれば人身事故に繋がりかねません(幸い、まだ人身事故の例は聞いたことありませんが)。
パネルが飛んで人にぶつかったり断線による漏電で感電したりと、万一、死傷事故を起こしてしまったら売電利益など吹き飛んでしまうでしょう。それに比べれば発電量の多寡など些細な問題に過ぎません。
いずれにしろO&Mは、太陽光発電所の見た目を新品同様にすることが目的ではありません。
「安全性」と「発電量」を確保する必要最低限のO&Mをやることです。
ただし、何をもって必要最低限とするかは、各O&M業者に委ねられていて、まだ一般的な共通理解はありません。
そのO&Mが「安全性」と「発電量」にこだわりつつ、必要最低限で収めているか(やり過ぎていないか、逆にやらな過ぎていないか)、本質をしっかり把握しましょう。
2017/12/14 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之