前回のブログはこちら。
O&Mのメリットのひとつ、
・太陽光発電所の売電利益の損失を最小限にできる
という点を説明します。
売電利益の損失を招く主な要因は以下。
A. 系統側理由による売電停止
B. 草木による影
C. 太陽光パネルの汚れ
D. パネルの故障・経年劣化
E. パワコンの故障・経年劣化
F. 積雪による発電低下
これらは設計・施工のミスではなく、かつ安全性の問題となるほど(まだ)深刻な事象ではない、という頃合いのトラブルです。このようなトラブルを放置していると、そのうち安全性の問題を引き起こします(A. 以外のB. ~F.において)。
売電利益の損失を減らすと同時に、より深刻な事象となることを予防するためにも、早めの対策をお勧めします(A. 以外のB. ~F.において)。
A. は、太陽光発電所側ではなく、系統側(電力会社側)の理由です。例えば、系統側が停電している時は太陽光発電のパワコンは自動的に停止することになっています。
これは停電の復旧作業をする人が感電しないためのルールです。
停電が復旧したタイミングで、パワコンも自動的に再起動すれば良いのですが、高圧発電所では手動での再起動が原則です。また、低圧は自動復旧できますが、なんらかの理由でうまく再起動できないこともあります。
パワコンの停止状態に気づかないまま1ヶ月経ってしまい、売電利益が丸ごとパーになった、ということも実際にあります。
低圧発電所の場合、1ヶ月で10万円~20万円程度(季節により大きな差がある)の売電利益がパー。高圧の1MWの発電所だと、1ヶ月止まると約200万円~400万円の損失です。
ちなみに関西電力によると「住宅1軒当たりの年間停電回数は0.09回」だそうです。
体感的にはもっと多いような気もしますが、この数字で言うと少なくとも10年に1回、20年で2回は停電に遭遇することになります。
(「停電」とは別に短い時間だけ一瞬停電する「瞬停」というものもあり、これもパワコンを止めるので、リスクはもっと多いですね。)
パワコンの停止による売電損失を防ぐには、遠隔監視システムを設置して日常管理をしっかりやるのが一番良い方法です。
遠隔監視の設置に初期費用とランニングコストは掛かりますが、それに見合うメリットは十分あります。
2018/1/24 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之