「メンテナンスせずにリスク管理は全部保険に任せる。発電所が壊れたら保険で直せば良い」。
たまにそう割り切っている方がいらっしゃいますが、保険は打ち出の小槌ではありません。
万一の事故の際に支払われる保険金は、保険契約者が掛けている保険料の全体以上には出ません。
プールされている保険料以上に保険金の支払いが嵩んでしまうと、その保険商品は破綻してしまいますので、そうならないように保険会社は引き締めを行います。
・保険金の支払基準を厳格にする
・保険料を上げる
・いい加減な発電所は保険を引き受けない(継続しない)
これまで事故時の保険金支払いについては、あまり厳しく精査されず、言ったもん勝ち的な傾向がありましたが、自然災害などによる保険金支払いが増えており、今後、支払基準が厳格になることが予想されます。
そもそも設計・施工に不備はなかったのか?
価格を抑えて激安で作ってしまったことが事故発生の主因ではないか?
(具体的には、基礎や架台の強度が弱い、施工にミスがある、など)
そうならば、天災というよりは人災ではないか?
人災ならばそこに責任を取らせるべきでは?
などなど、今、保険会社は検討し始めています。
設計・施工に不備がない、ということを証明するためにも、完成図書をしっかりと完備することがこれまで以上に重要になります。
今後は事故率の高い発電所(もしくは発電事業者)の更新時に保険料がはね上がったり、場合によっては引き受けてもらえない、ということも発生しかねません。
『保険は最後の命綱』です、あまり日常的に当てにしすぎると、いざという時に命綱が切れてしまうかもしれません。
極力、メンテンナス中心にリスク管理を実施し、それでも足りなかった場合のみ保険を使う、という心構えを推奨します。
2018/3/6 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之