持続可能な社会の要となる『太陽光発電所のO&Mが持続可能ではない』という落語のような話ですが、そろそろ現実問題として直視するタイミングでしょう。
O&Mが今のままでは持続可能ではない、と考える主な理由は次の2点です。
1.60万件以上の産業用太陽光発電所をくまなく点検するための人材が足りない
2.売電単価が安い発電所ではO&Mの費用を捻出できない
1の人材不足は、人口減少社会においてすべての業界に共通することですが、現場作業が中心の業種では尚更深刻な問題です。仮に60万件の発電所を年に1回点検するとして年に60万回、二人一組で1日平均2件点検できるとして、述べ60万人が必要な計算です。
太陽光発電所のO&Mに年間60万人が携わる、なんてことが想像できるでしょうか?
また、売電単価が40円~21円(kWh)ぐらいまでなら、O&M費用を捻出するのも不可能ではありません。ですが、これから建設が進む14円(kWh)や自家消費の案件で、同じ金額を捻出することは、かなり困難だと思われます。
ではどうするべきでしょうか?
「今のO&Mでは難しい」ですが「O&Mのあり方をコペルニクス的転回をすれば可能」と考えています。
これまでは現場での点検偏重の労働集約型でしたが、これからは遠隔監視のデータ解析をベースとした日常管理をしっかり活用することや関係者間での情報共有の効率化など、極力人手を掛けずに実効性の高いO&Mに組み替えていく必要があると思います。
「スマートメンテナンス化」と言っても良いかもしれません。
O&Mのパーツごとの細部にこだわることも大切ですが、5年後、10年後も持続可能なO&Mとするために、そろそろ大局観を持って考えるべきタイミングではないでしょうか?