昨日のつづきで、太陽光発電所の点検機器について説明します。
健康診断は、身長、体重、視力、聴力を計ったり、血液検査をしたり、バリウム飲んでレントゲン検査したり、心電図取ったりしますが、それぞれ専門の機器を使います。
太陽光発電所の点検も、やはりさまざまな点検機器があり、それを点検の目的別に使い分けます。
実はO&M業者でも点検機器に詳しくないところも少なくありません。
たまに、「O&Mの実務ができる。仕事あったら回して欲しい」と、地方の業者から連絡がありますが、その際に、どんな点検をしているか尋ねると、「開放電圧と接地抵抗、絶縁抵抗を測定する」とのこと。
それでは残念ながら専門的点検と言うには物足りません。
健康診断で身長体重を計測する程度でしかありません。
(それでもやらないよりはマシですが。)
健康診断では、心電図やレントゲンや超音波など、専門の機器を使ってしっかり診て欲しいですよね?
太陽光発電所も専門の点検機器を使ってしっかり見て欲しいですよね?
さて、専門の点検機器の中でも太陽光パネルの故障診断用にはさまざまものがあります。
タイプ分けすると、以下の4種類。
1.サーモカメラ
2.IVカーブトレーサー
3.インピーダンス測定器
4.バイパスダイオード測定器
2.のIVカーブトレーサーは、パネルの発電状況を詳細に把握できます。
I=電流、V=電圧の状況を詳細に計測しますので、これさえ計測しておけば安心なのですが、現場で使うとなるといくつかの問題が出ます。
・日射量に依存し、曇りの日は計測できない。
・晴れていても雲がかかったりするとダメ。
・夕方や朝方など日射量が低いとダメ。
・IVカーブの計測結果を見て、パネルの良し悪しを見極めるには熟練が必要。
パネルの詳細を見る上でIVカーブトレーサーはとても良いものですが、日射量に依存する、使用者の練度に依存する、という2点から現場ではなかなか使いづらいものでもあります。
想像してみてください。熟練の技術者が遠くの発電所まで点検に行ったのに曇ってしまい点検できなかった、無駄足を踏んだが、この費用は誰も負担してくれない。お天気次第では何回も無駄足となってしまう可能性もある。
これでビジネスとして成り立たたせるには、最初からそのロスを織り込んだ値付けをしなければなりません。つまり高くなってしまいます。
もしくは日射量が低いのに無理やり測定して信頼性の低いデータでごまかしてしまうか…。
そこで開発されたのが、インピーダンスを測定して簡易的にパネルの良否を判断する計測器です。
2018/1/5 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之