昨日のつづきです。
昨日は、太陽光パネルの故障を判定するインピーダンス測定器の説明をしましたが、他にもバイパスダイオード測定器なども新しく発売されています。
バイパスダイオード測定器は、パネルのバイパスダイオードという特定部位の故障を診断するものです。
太陽光パネルにおいてバイパスダイオードは安全ベルトのようなもので、パネルに問題がない時はなんの働きもしていませんが、いざ不具合が発生した時にはパネルの焼損を防ぎます。
万一、パネルが燃えた場合、被害が大きくなる可能性があるので、バイパスダイオードの故障を判定した方が良い(安全ベルトがちゃんと作動するか?)という考え方です。
サーモカメラのように汎用性のある点検機器を太陽光に適用する方法もあれば、IVカーブトレーサーのように太陽光パネル専用に以前から使われているものもあり、インピーダンス測定器のように簡単に計測できるよう新しく開発されたものもあり、かつ、バイパスダイオード測定器のようにこれまで測定が難しかった特定部位に特化したものもあり、と、点検機器は百花繚乱です。
では、どの点検機器を使えば良いのでしょうか?
答えは、『適材適所。特定の点検機器だけでは、太陽光発電所のさまざまなトラブルには対処できない』です。
どんな病気でも発見できる万能の検査ってないですよね?
太陽光も一緒です、万能の点検機器はありません。
誰がそれら点検機器を使うか?、が最も大事なことになります。
健康診断でさまざまな検査をしますが、検査結果は医者が判断するための一つの材料に過ぎません。さまざまな検査結果を総合的に判断して、病気があるか、治療が必要かは、医者が最終的に判断します。
太陽光発電所のO&Mも一緒です、点検結果は判断するための材料に過ぎません。さまざまな点検結果を総合的に判断して、トラブルが発生しているか、どのような対処をするべきかを判断します。
逆に言えば、判断するために最低限の検査をやる必要があり、それはトラブルの徴候によって変わってきます。
つまり、過不足のない検査を実施し、その結果から発電所の良否を判断する、それはO&M業者の腕の見せ所な訳です。
ヤブ医者はさまざまな検査結果を手にしても、間違った判断を下して、患者をひどい目に合わせます。
太陽光発電所のO&Mも、ヤブ医者に掛かるか、名医に掛かるか、で大きな違いです。同じ点検をしても問題点を正しく見抜く目がなければ、発電事業者がひどい目に会うことになります。
(ここででは点検だけについて言及しましたが、本来は、遠隔監視システムを使った日常管理も含めて判断した方が精度はずっと上がります。)
2018/1/8 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之