昨日のブログはこちら
デメリットはコストが掛かること、と昨日書きましたが、コストの目安はどのぐらいでしょうか。
年間のO&Mコストは、およそ【売電金額の3-8%】が目安となります。
大きな発電所になるほど効率化できますので3%に近づき、小さな発電所は8%に近づきます。
1MWの発電所ですと、年間4000万円の売電があるとして、およそ5%、200万円以下がひとつの目安になります。(50kWの低圧なら、年間200万円の売電があるとして、およそ8%、16万円以下。)
ただし、発電所の作り方や主任技術者がどこまでやるか、O&Mの内容をどのレベルでやるかなど、発電所ごとに大きな違いがありますので、結果的にもっと安くなることもあります。(個別の案件に関してはお問合わせ下さい)
それだけのコストを払ってO&Mをやるメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
1.太陽光発電所の設計・施工に問題がないか確認できる
2.太陽光発電所の安全性を確保できる
3.太陽光発電所の売電利益の損失を最小限にできる
1.については、「設計・施工に問題がないのが当たり前」と考えがちですが、実際には太陽光発電所に発生するさまざまなトラブルの原因第一位と言っても良いぐらい、設計・施工ミスは多発しています。
ちなみに、発電事業者は『消費者ではなく、あくまでも事業者』ですので、仮に施工店によるミスがあったとしても、発電所の購入時点や引き渡し時点で、そのミスを指摘しなければ「そのミスを容認した上で購入した(引き渡しを受けた)」とみなされることもあります。
つまり『自己責任』です。『消費者』は手厚く保護されますが、『事業者』は自己責任を問われます。
数年経ってから、設計・施工ミスが原因で大きなトラブルが発生したとしても、「それは了解の上で買ったんでしょ」と言われる可能性があります。
今まで発見した設計・施工ミスの例を上げると、
A. 造成のミスで排水路が作られておらず、土砂流出した
B. 基礎工事のミスで、台風でパネルが飛散した
C. 太陽光パネルのストリングがプラスとマイナス逆に接続されていた
D. 架台の選定ミスで、強度が足りない
E. 電線の太さが間違っていた
F. ブレーカー容量が間違っていた
G. フェンスの選定ミスで、強度が足りない
H. アースが取れていない
I. ボルトが緩んでいた
J. パネルの押さえ金具の使い方が間違っていた
K. 配線の仕方が間違っていた
などなど、ミスのオンパレードと言っても言い過ぎではありません。
(だから改正FIT法で、しっかりした発電所を作らせる方向に軌道修正しています)
そのような発電所でも、最初の数年はどうにかこうにか壊れず発電してしまうので点検をしなければミスに気づきません。
数年後にトラブル事象が発生して、はじめてミスに気づき、その段階で施工店に交渉しても「それは発電事業者の自己責任」と突っぱねられることもあります。
しかし購入(引き渡し)時点や購入後でも早いタイミングで、しっかり点検してミスを指摘すれば、施工店責任で改善させることも可能です。
もし設計・施工ミスを放置して、土砂流出で発電所が倒壊してしまった場合、これは保険適用外なので再設置の費用をすべて自己負担しなければなりません。
数百万円~数千万円の損害となります。
適正な点検を行うことで、そのような大きな損失を回避できる、というのがO&Mメリットのひとつです。
2018/1/16 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之