太陽光発電所を作っている最中だが、施工店から完成図書の話は何も言われていない。もらった方がいいのかな?
この疑問に結論からお伝えすると、「もらった方が良い、というより、もらわないとダメ」です。
産業用太陽光発電の完成図書とは?
産業用太陽光発電における完成図書は以下の資料で構成されています。
- 各機器の配置図(パネル、PCS、接続箱等)
- ストリング配線図(ストリングマップ、アレイ配線図)
- 電気配線図
- 単線結線図
- 土木関連工事に関する資料
- 架台・基礎強度計算書(構造計算書)
- パワーコンデイショナー関連資料(仕様書、取扱説明書、保証書等)
- パネル関連資料(仕様書、取扱説明書、保証書等)
- 契約書一式(瑕疵担保責任による補償内容明記のもの)
- 法規関連申請・許可関連書類
- 完成引渡し前検査報告書一式
産業用太陽光発電事業者において、なぜ完成図書の保管が必須であり大事かを解説していきますね。
産業用太陽光発電の完成図書の保管は発電事業者にとって必須
太陽光発電の事業計画策定ガイドラインの遵守事項には、「適切なO&Mをやること」と記載があり、適切なO&Mには「完成図書が必須」です。
大切なことなので少し長めの引用をしますが、事業計画策定ガイドラインで発電事業者がやるべきこととして、
発電設備の設計図書や竣工試験データを含む完成図書を作成し、事業終了時まで、適切な方法で管理及び保存すること。
と明記されています。
その解説文では、
太陽光発電設備の完工後、適切な設計・施工が行われたことを証するためには、完成図書として、設計図や施工記録、完成した設備の竣工試験データ等の書類一式 が必要である。
これらの完成図書が作成されていない場合、事業の開始後に事故などが生じても、その原因を明らかにすることが困難となるおそれがある。
このため、完成図書を作成して、事業終了まで適切に管理・保管し、必要に応じて参照できるようにしておくことが重要である。
なお、自ら設計・施工を行わない場合は、設計・施工事業者に対して、完成図書の作成を依頼することが適切である。
と明記されています。
例えば、テレビが壊れた時、その設計図なしに修理はできない、というのと一緒。
太陽光発電所はすべてカスタムメイドで、設計思想も千差万別。設計図なしに修理ですることは非常に困難です。
重要な書類にも関わらず、多くの発電事業者は完成図書の管理に無頓着なのも事実です。
特に低圧発電所では完成図書を保有していない方が普通と言ってもいいぐらい。
施工店側の意識も非常に低く、渡すべきものと捉えていないところも多くあります。
本来は「完成図書の引渡しをもって、発電所の引渡し」とするべきものです。
完成図書を手元に保管していなければ、今すぐに施工店に依頼してください。
太陽光発電メンテナンスサービスに申し込みいただいた方には、施工店に完成図書を依頼するためのテンプレートを無償でご提供いたします。
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