自動車のメンテナンスはすでに確立していて、点検の内容や頻度は、ディーラーでも一般の整備工場でも大差ありません。どこに依頼しても、そんなに大きな価格差なしに、信頼できるメンテナンスをしてくれるでしょう。
自動車業界が100年以上の歴史を積み重ねてきた成果、と言えます。
でも、太陽光発電業界はほんの数年しか経っていません。一気に普及を加速した固定価格買取制度の導入が2012年7月ですから、まだ5年程度です。
そして最初の2、3年は、メンテナンスのことなど考えずに、ひとつでも多く設置することに業界全体が邁進していたので、O&Mの必要性に気付き始めたのは2015年ぐらいから、というのが一般的です。
O&M業界自体が、まだ2,3年程度しか経験値がない、と言えます。
固定価格買取制度以前も住宅用太陽光はありましたが、規模も作り方もまったく異なりますので、O&Mの考え方・手法ともにまったく別物です。
そして市場の立ち上がり期によくあることですが、適正な内容、適正な価格が定まっておらず、過剰内容で高すぎるもの、最低限以下のレベルで安すぎるもの、など玉石混交状態となっています。
ある程度の期間が過ぎれば、適正な内容、適正な価格という一般通念が形作られ、高すぎるもの・安すぎるもの、どちらも淘汰されます。しかし今はまだ玉石混交状態で、高すぎるもの・安すぎるものが混在している状況です。
どのO&Mを選ぶか?、選択眼によって大差が出る状況です。
端的に言うと「あまり安すぎるものは選ばない方が良い」です。昔からよく言いますよね、安物買いの銭失い、と。必要な機能を満たすためには、最低限掛けなければならない費用はあります。
どんなに安くても機能が足りなければ、もう一度、買い直さなければなりません。
太陽光発電のO&Mが、間口が狭く、大した専門性も必要ない、ならば価格だけで選んでも大きな失敗はしないかも知れません。
でも、太陽光発電のO&Mは、間口が広く奥が深い専門職ですから、ノウハウを持つところと持たないところの差は非常に大きいものがあります。
2017/11/05 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之