まず基本的なことですが、「良い発電所、正しい発電所とは、どういうものか?」を知っていなければなりません。
太陽光発電のO&Mは、不具合を発見して、それを改修し、長く、できるだけ多く発電させること、しかも適切なコストで、と言い換えられます。
不具合を発見するためには、まずは何が良くて、何が悪いのか判断できなければ始まりません。
そのためには発電所の全体像を把握できること、が必要です。
産業用太陽光発電の場合、パネルやパワコン、架台のメーカーは主役ではありません。単なるパーツサプライヤーに過ぎません。
主役は、設計・施工を担当するEPC(Engineering, Procurement and Constructionの略、日本語に訳すと「設計・調達・建設」。簡単に言うと元請けの施工店)です。
発電所の規模や目的、設置する場所に合わせて、どのパネル・パワコン・架台を選ぶか、どのように配置するかなどを検討した上で、最終的な設計図を作り施工します。
この取りまとめをするのがEPCです。
パネルメーカーやパワコンメーカーは、自社商品に関しては当然詳しいですが、太陽光発電所全体について詳しい訳ではありません。
全体を把握し、太陽光発電所を商品として作り上げるのはEPCなのです。
適切なO&Mを行うには、できあがった発電所の全体像を把握して、EPCがどのような意図で設計・施工したのか理解した上で、現状の正否を確認することがまずは必要になります。
中には設計・施工の能力が足りないEPCが作った発電所もあり、その場合は、設計段階に遡って是正しなければなりません。
EPCにより各社各様の設計方針があり、中には設計自体がまずい場合もあり、そんな千差万別、ひとつとして同じ発電所はない中で、「良い発電所・正しい発電所」という基準を持てるだけの引き出しがないと、なかなかO&Mは難しいと言えます。
O&Mのノウハウについて説明するつもりが、概論だけでこんなに長くなってしまいました(汗)。
2017/11/06 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之