太陽光パネル(太陽電池モジュール)にかかる影は、例えそれがわずかであっても、発電量の大幅な低下を招きます。
上の写真は、先日調査に行ってきた発電所です。
建物によって生じる影について、全く配慮することなく設置されており、モジュールの上に影がはっきりとかかっていました。
建物や電柱、フェンスなどが生み出す影は、発電量に甚大な悪影響を及ぼします。
太陽電池モジュールについて、構造をご存知ない方は、影がかかった部分だけ発電しなくなると思いがちですが、実際はそうではありません。
モジュールは、大まかに3つの部位に分けることができ、1つの部位のごく一部分にでも影がかかると、その部位全体が発電しなくなります。
つまり、『ごく一部に影がかかるだけで、モジュールの3分の1が発電しなくなる』のです。
本来は、いかに発電のロスを減らすかに注力するべきですが、このような初歩的なミスを犯してしまっているようでは、この発電所を設計・施工した施工店は、『太陽電池モジュールのことを理解していない』と言わざるをえないでしょう。
(どうしても影がかかってしまう場合もありますが、その際は、影に強いCIS系モジュールを使うなどの対策を考えたいところです。)
モジュール上の影が及ぼす悪影響は、発電ロスの問題だけにとどまりません。
継続的に影がかかるとモジュールの故障を引き起こし、最悪の場合、発火する危険性もあります。
発火に至るまでの経緯を簡単に説明すると、以下のようになります。
・影がかかった部分が抵抗になる
・⇒抵抗が上ることで、電流がバイパスダイオードを迂回する(発電量の低下)
・⇒継続的に電流が流れることで、バイパスダイオードが故障する
・⇒抵抗が高い部分に無理に電流を流すことで、ホットスポットができる
・⇒ホットスポットが悪化すると、最大500℃になることも
・⇒落ち葉など燃えやすいものがホットスポットに触れて火災になる
対策としては、影を作るものを動かすとことが考えられますが、物理的に難しい場合は、定期点検を行い、『モジュールの抵抗値が上っていないか』『ホットスポットの温度が上がっていないか』を管理するしかないでしょう。
そして、危険な状況に陥っていないかどうかの確認を怠らず、必要であればモジュールを交換することが重要になります。
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