O&Mのメリットのひとつ、
・太陽光発電所の売電利益の損失を最小限にできる
という点を説明します。
売電利益の損失を招く主な要因は以下。
A. 系統側理由による売電停止
B. 草木による影
C. 太陽光パネルの汚れ
D. パネルの故障・経年劣化
E. パワコンの故障・経年劣化
F. 積雪による発電低下
A. については、こちらとこちらのブログをご覧ください。
B. については、こちら。
今日はC. 太陽光パネルの汚れについてです。
パネルが汚れると発電量が下がりますが、だからと言って洗浄すれば良い、というものでもありません。
洗浄することで取り戻せる売電ロスと洗浄コストを天秤に掛けて、取り戻せる金額の方が大きくなるなら洗った方が良いでしょう。
ザクッと言うと、想定発電量よりも15%以上減少していて、その原因が汚れならば洗浄した方が良いと言えます。
例えば、50kWの低圧発電所の場合、年間売電金額200万円として、15%ダウンすると30万円の損です。年間30万円のロスを月平均にすると2.5万円のロスです(本当は季節によって幅がありますが単純化してます)。
低圧発電所の洗浄費用を5万円とすると、2ヶ月分の売電ロスを取り戻せばペイする勘定です。
1MWの場合ですと、年間売電金額が4000万円として、15%ダウンすると600万円の損。
年間600万円のロスを月平均にすると50万円のロス。
2ヶ月分の売電ロスを取り戻すと考えると、100万円程度の洗浄コストを掛けても良いでしょう。
「2ヶ月分の売電ロス」と言うのは、洗浄効果が効いてる期間を2ヶ月程度と見込んでいるからです。
洗浄してもいつまでもピカピカなわけはなく、2ヶ月程度で元と同じぐらいに汚れてしまうと。
そして汚れによる売電ロスは、遠隔監視システムでしっかり計測した方が良いです。
見た目でだいぶ汚れているようでも、実は発電に影響していない、ということもあるからです。
ある発電所で、パネルがスギ花粉で真っ黄色になってしまった時、試しに半分だけ洗浄したところ差がほとんどわからなかった、という事例があります。
洗浄メリットをしっかり確認するには、IVカーブトレーサーで、洗浄前と洗浄後の発電状況を測定すればより分かりやすいです。
特にFF値(理論上最善の発電量と実際の発電量との比較(%))で比較すれば、洗浄で何%ロスを取り戻せたか一目瞭然です。
2017/1/28 エナジービジョン 代表取締役 奥山 恭之